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2022.5.26 勉強会「救急×膠原病①」

2022.05.27

当科には他診療科の医師達も手伝いに来てくれています。そのため、救急医や総合診療医からだけでなく、各診療科の専門分野についてエキスパートから直接指導を受けることができます。各診療科の最先端の情報を学べるのは大学病院の強みですね。また、うちわだけだと情報が偏ってしまったりする恐れがありますから、こういった機会は大切です。

 

今回は当科で定期的に行なっている勉強会で「救急×膠原病」をテーマにクルズスをしてもらいました。

正直、苦手としている救急医や総合診療医は多いのではないでしょうか?

膠原病領域の最前線で活躍する先生がわかりやすくまとめてくれました。今回は「もともと膠原病がある患者が救急を受診した時の注意点について」でした。ここでは内容を一部抜粋して紹介したいと思います。

 

<膠原病診断の特徴>

<膠原病患者が救急外来を受診した場合の対応>

①もともとの症状の増悪があるか?

②急性期の病勢を反映する検査項目(超極論):

・関節炎系:炎症反応など(リウマチ因⼦などは関係ない)

・抗核抗体関連:抗DNA抗体、抗MDA5抗体、IgG、補体

・⾎管炎:ANCA、クリオグロブリンの有無

・⾃⼰炎症性(AOSDなど):炎症、フェリチン

副腎不全の症状は発熱や全身倦怠感など非特異的な症状が多く、救急外来に来院するような全身状態が良くない患者では鑑別が難しいことが多い。また、救急外来を受診するような人は全身状態不良のためステロイドの内服自体ができていないこともある。

ステロイドカバーにより副腎不全の症状がとれることがあり、感染があっても大きな悪影響はないと考えられるため、ステロイド内服中の患者が救急外来を受診した場合にステロイドカバー(ソル・コーテフ50mg または血圧低値等あれば100mg投与)しておくのは悪くない選択肢(ただし、自施設の膠原病内科医のコンセンサスは必要)

ステロイドや免疫抑制剤は抗炎症+抗免疫の効果があり、発熱や症状、CRPなどの検査値をマスクすることに注意が必要。重症でも一見元気に見えてしまうこともある。

・特にIL-6阻害薬に注意が必要!!

IL-6阻害薬 (トシリズマブやサリルマブ)はCRPを基本的にはゼロにしてしまう。また発熱や倦怠感、その他の炎症症状も強く抑制するため、重症に見えない。

中でも憩室炎→腸管穿孔には注意。添付文書の副作用にも「腸管穿孔(0.2%):本剤投与により、憩室炎等の急性腹症の症状(腹痛、発熱等)が抑制され、発見が遅れて穿孔に至る可能性があるため、異常が認められた場合には、腹部X線、CT等の検査を実施するなど十分に観察し、適切な処置を行うこと。」と記載がある。

・JAK阻害薬に特徴的な感染症:帯状疱疹 (IL-6阻害もありCRPや熱も下げる)

・TNF阻害薬で特に注意すべき感染症:結核・NTM